「派遣に求めすぎ!」
「派遣なのに、仕事量も多いし重い責任を背負わされてツラい」
これから派遣の仕事をしようと思っているけど、こんな声を聞く。
でも派遣なんだから、きつければすぐに見切りをつけたい。
仕事を生活の全てにしたくない。
好きなことや趣味も楽しみたい。
なりわいとして働くのではなく、いい意味でゆるく、ほどほどに働きたい・・・。
このような考えを持っているのではないでしょうか?
私はいくつもの職場で、派遣社員として勤務してきました。
良い環境と悪い環境の両方を、経験しています。
派遣社員の定義や派遣で働くことの特徴など、 “派遣の現状”を熟知しています。
結論として、派遣のきつさは“派遣で働く目的と環境の相性が左右する”と心得ておきましょう。
どこで働いても派遣社員という形は変わりませんが、就業する派遣先の会社や所属する派遣会社の環境が合うかどうかで、 “きつい仕事”か“便利で気楽な仕事”なのかが決まるからです。
この記事を読むことで、派遣社員として働くことについて、あらかじめ重要なヒントを得て仕事を探せます。
この記事でわかること:
- 派遣として働くのがきつい理由がわかる
- 派遣がきついと感じた時の対処法がわかる
- 派遣先で働く前に、やっておくべきことがわかる
記事をヒントにして、気持ち良く働ける職場に辿り着くための近道を歩みましょう。
できる限り良い環境を見つけて無理なく働きたい人は、最後まで読んでみてください。
派遣社員として働くのがきつい理由
派遣で働くのがきついのは、一言で言うと“使い勝手のいい「駒」として雇用されるから”です。
派遣社員は元々、海外では会社の中で人手不足となっている職種について、派遣会社から適した人材をスペシャリストとして派遣されて救援する役割を持っていました。
様々な会社から需要が発生する度に即戦力採用されて、その都度渡り歩くのが派遣社員です。
日本でも派遣社員の雇用が導入されてからは、海外にならった雇用の方法が採用されていました。
しかしながら労働者派遣法の改正により、スキルがなくても派遣社員の雇用が可能となります。
結果として、雨後のたけのこのように、派遣会社が増えました。
そして現在、企業にとって派遣社員は使い勝手のいい駒として扱われる認識が広がっているのです。
中小零細の派遣会社を中心に、露骨に悪質な雇い方をしていることもあります。
以下で、 “きつい”を深堀りしていきます。
雇用契約が不安定
派遣社員はアルバイトや契約社員のような非正規雇用であることから、雇用が不安定です。
さらに派遣社員は就業先の企業に直接雇用されているわけではなく、 “派遣会社からレンタルされているような存在”です。
ほとんどの場合、契約期間は3ヶ月単位で、その都度更新の可否を判断されます。
そして現在の就業規則では、派遣社員が一つの派遣先で働ける期間は最長3年までと決まっています。
3年を超える場合は、直接雇用に切り替えるなどの変更が必要です。
そのため就業した派遣先でうまくいっていても、短期間で契約終了となり、また新しい環境を探すことになります。
他の派遣先が見つかっても、新たな環境が合うか、雇用条件が前回と同等以上の待遇となるかは全く保障されていません。
待遇が手薄
待遇は正社員と比べて手薄です。
福利厚生で正社員が受けているものを受けられないことがほとんどです。
ボーナスの支給がなければ、退職金が支払われることもありません。
以前は、大手の派遣会社では交通費の支給も受けられないところが大半でした。
なお労働基準法を守らない会社では、有給休暇すら与えないところもあります。
正直就職先として派遣社員という働き方を選択すると、ガッカリする場面は多いでしょう。
派遣差別に遭うこともある
いわゆる“派遣差別”に遭うことも、あり得ます。
正社員が上、派遣は下という意識を強く持っている会社があるからです。
見下されていることで、心理的に距離を置かれたり、冷たい態度を取られることもあります。
派遣なのに正社員同様の貢献を求められる
不安定な雇用や待遇差、差別もあり得ますが、そんな派遣でありながら正社員同様の貢献を求められることがあります。
ここで言う“正社員同様の”というのは、正社員と同じ仕事をすることに限りません。
正社員同様に“会社への忠誠を尽くす”ことを求められます。
派遣先の会社にとっては、安いコストで労働力を確保したいという思惑があるからです。
そのため待遇は正社員と差がついているものの、同じ仕事をこなして同じ成果を求められる。
または仕事は別でも会社の求める貢献度合いが、派遣社員にとっては待遇のわりに合わず“重い”と感じるのです。
同じ条件、同じ仕事が続く
派遣社員は原則として3ヶ月ごとの雇用契約を組み、契約期間中は同じ雇用条件かつ同じ仕事で働き続けます。
雇用契約を結ぶ度に、待遇や仕事内容などの詳細が記載された雇用契約書を渡されます。
先にも触れましたが、正社員登用やそれに匹敵するほどの信頼を勝ち取っていない限り、昇給や昇進はありません。
原則として、他の仕事や役割を与えられることもありません。
(一時的に他の仕事を追加されたり、変更されたりということはあり得る)
就業先に派遣されて最長3年働き、また仕事の紹介を受けられれば、次の派遣先を紹介されます。
次の派遣先を紹介されたら、雇用条件はあらかじめ派遣先で決められているため、それまでの実績はリセットされるも同じです。
Ex:A社は時給1,800円、B社は時給1,600円
前の派遣先A社は時給1,800円→次の派遣先B社は1,600円=時給200円のダウン
このように次に働く場所で、条件が上がることもあれば下がることもあります。
派遣がきついと感じた時の対処法5選
派遣のきつい理由がわかり、不安が大きくなってきた。
でもライフスタイルを考えると、正社員で働くことは難しい。
派遣でうまくやっていくことはできないの?
このように感じたのではないでしょうか?
そこでここからは、きつい職場に入ってしまった場合の対処法を5つ紹介します。
- 【対処法1】派遣会社のコーディネーターに相談する
- 【対処法2】境遇の似た同士、気の合う仲間を探す
- 【対処法3】親身にフォローしてくれる管理者を探す
- 【対処法4】前の派遣先で資格や経験を取得して次の派遣先を探す
- 【対処法5】深く考えすぎずに辞める(逃げる)
なお派遣でも働く目的や環境の探し方次第で、自分に合った良い職場を見つけるコツもあります。
こちらは、下記の記事を参考にしてみてください。
派遣で働くのはきつい?きついと言われる理由や気楽に働ける職場も解説
【対処法1】派遣会社のコーディネーターに相談する
きつい職場に入ってしまったら、まずは派遣会社のコーディネーターあるいは営業担当者に相談してみましょう。
派遣社員は派遣先企業で働きますが、所属して給料をもらうのは派遣元の会社です。
そのため何かトラブルや困ったことがあれば、派遣会社に相談し、間に入ってもらいます。
親身にサポートしてくれるコーディネーターなら、真剣に話を聞いて派遣先の会社と話を重ねて、状況改善のために対応してくれるでしょう。
【対処法2】境遇の似たもの同士、気の合う仲間を探す
きついと思ったら、まわりに境遇が似ている人や気の合う人を探しましょう。
共通点を持つ人がいると、心強いものだからです。
一緒にランチに行ったり、休憩時間や帰り道でグチでも話すと楽になります。
仲間と話しているうちに前向きな解決策が出てくることも十分にあり得るでしょう。
【対処法3】親身にフォローしてくれる管理者を探す
派遣先の会社の中で、親切にフォローしてくれるなど気にかけてくれる管理者がいるとありがたいですね。
影響力を持つ管理者が力になってくれると、状況を変えてくれるかもしれません。
たとえば、
- 派遣に対して厳しい態度を取る人と、離れた場所で仕事ができるよう配慮してくれた。
- 研修も行われず放置されていたが、研修担当者を説得して手厚く仕事を教えてもらえるようになった。
管理者で誠実な人がいると、このように環境の変化を起こす“救世主”になってくれることもあります。
【対処法4】就業中の派遣先で資格を取るなり経験を積むなりして次の派遣先を探す
待遇の改善を求めるなら、就業している職場で有力な資格を取得できるなら取得し、他の職場でも活かせるような実績や経験を積めるなら積んでおくこと。
これは私が派遣をやっていて、最も有効な方法でした。
たとえば、
- その資格を持っている人しか仕事ができないような資格を、派遣先で勉強して取得できる。
- その仕事の管理者的立場になると、同業他社に行っても同様の立場として重宝される。
このような資格や実績を取得できるなら、チャンスです。
限られた人しか資格や実績を持っていないため、当然時給は高めに設定されています。
さらに派遣を尊重している職場では、正社員への登用も前向きに検討してくれるかもしれません。
待遇を改善したければ、 “自分が希少価値を持つこと”です。
そのため資格を取得したら、次の派遣先はその取得を活かせるところを探すと良いでしょう。
Ex:証券外務員一種の資格を取得した→証券外務員一種の資格を活かせる職場を探す
管理者など人をまとめる仕事を任せられていたら、管理者の実績を持つ人を募集している職場を探すと有利ですね。
Ex:コールセンターのSVで働いていた→SVを求める職場を探す
【対処法5】深く考えすぎずに辞める(逃げる)
どうしても合わない、にっちもさっちもいかない。
そんな時には、潔く辞めましょう。
ここで言う“辞める”とは、 “派遣先の契約を終了する”ということです。
派遣で一つの就業先を長く続けたかどうか、どれほどの成果を上げたかはあくまでもその時の派遣先での話です。
そもそも世間的には“派遣はしょせん派遣”という考えも根強いため、逆にうまくいってもいかなくても、派遣として働いている限り“派遣先の小さな世界で起きているだけの話”です。
合わないと感じたら、すぐに辞めてもいいでしょう。
私の経験で言っても、派遣先で働き出してもすぐに撤退したり、派遣先からの信頼を得られなかったことはあります。
それでも、ダメージにはならなかったと感じています。
次の派遣先を紹介してもらえたり、他の派遣先では環境にフィットできて“エース級”の活躍ができたり、大切にしてもらえたところもあるからです。
また良い派遣会社に所属しているなら、何か問題でも起こして撤退した場合などを除き、辞める派遣スタッフのことを責めたりしません。
他の派遣先を探して良いリスタートが切れるよう、支えてくれるものです。
派遣先で働く前に、やっておくべきこと
とは言っても、派遣会社の担当者がそれほど感じのいい人じゃなかったらどうするの?
派遣先でも、気の合う人がいなかったり、責任者がイヤな人ばかりだったら?
職場が最悪だったら辞めろというのもわかるけど、一度働きだしたらイヤでも我慢しちゃってなかなか決断できないよ。
このような懸念を抱くこともあるでしょう。
そこで、派遣で働き始める前にやっておくべきことを解説していきます。
やっておくべきことは、以下の3つです。
- 派遣で働く目的をはっきりさせておく
- 派遣会社の見極め
- 派遣先の情報収集
派遣先に行く前にできることをやっておくことで、働き始めてからきつい思いをするリスクを最小限に抑えられます。
派遣で働く目的をはっきりさせておく
派遣で働くことを考えたら、その目的を明確にしておくと良いでしょう。
派遣は正規雇用とは異なり、雇用形態が複数あります。
フルタイムだけでなく、短時間勤務や期間限定で働く単発の仕事など。
正規雇用のように長く一つの勤務先で働きたいという考えなら、紹介予定派遣や正社員への登用実績のある会社で働く方がいいですね。
つなぎで働きたい、プライベートと両立できればそこそこの拘束時間で働きたいという場合なら、期間限定の仕事や時間帯に融通が利く仕事を探すべきです。
目的に合った雇用を選択できると、派遣という働き方をうまく活用できていると言えるでしょう。
派遣会社の見極め
所属する派遣会社がいい会社か見極めておくことも、派遣で働くなら重要です。
先に触れた通り、派遣社員にとって所属して給料を支給されるのは、派遣元の会社です。
就業先で何か困ったことが起きた時、所属している派遣会社が力になってくれるかどうかがモノを言います。
あらかじめ、インターネットで派遣会社ごとの評判や口コミを調べましょう。
また派遣登録から仕事紹介までの間で、迅速に対応してくれるか、真剣に寄り添ってくれているかなどよく観察しておくと良いでしょう。
なお良い派遣会社の見極め方については、他の記事で詳しく解説しています。
派遣で働くのはきつい?きついと言われる理由や気楽に働ける職場も解説
ぜひ、参考にしてみてください。
派遣先の情報収集
派遣先、つまりは就業先の情報を集めておくことは大事です。
就業する前までにできる限り派遣先の会社情報を集められれば、仕事を受けるか事前に判断しやすいため。
派遣に限らず直接雇用でも言えることですが、ミスマッチを防ぐために、抜かりなく調べておきましょう。
たいていは派遣会社の中に、派遣先を担当する営業や、コーディネーターなどの担当者がいます。
派遣会社の担当者から、気になることは何でも聞いてみましょう。
派遣先となる会社のホームページや口コミ・評判があれば確認して参考にするのも良いですね。
まとめ【「派遣はきつい」を覆せるかは派遣元と派遣先次第】
ここまで派遣がきつい理由やきつい職場に入った場合の対処法、派遣先の会社で働く前にやっておきたいことを解説してきました。
以下が、この記事のまとめです。
この記事のまとめ:
- 派遣がきついのは、正社員とのあらゆる差をつけられる面が大きい
- 派遣先の会社の中でも、環境に大きな隔たりがある
- 派遣先がハズレの場合、まずは派遣元の企業に助けをもとめてみる
- 派遣先で働く前に、なるべく派遣先の会社事情を調べておくことが重要
派遣の記事については、以下でも解説しています。
派遣で働くのはきつい?きついと言われる理由や気楽に働ける職場も解説
まずは派遣という働き方を選択する理由を明確にしておきましょう。
その上で自分の目的に合う環境を探すことです。
派遣がきつい働き方になるか便利な働き方になるかは、派遣元や派遣先の会社、つまりは環境に大きく左右されます。
ただし、たとえ失敗したと思っても、派遣ならいくらでもやり直せます。
身軽に挑戦してみましょう。
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